こんにちは、ぱんです。
この度、梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』を読みました。
この記事では、本書のあらすじと感想をまとめています。
あらすじ
二度と再び、まいの世界が元に戻ることはなかった。
学校に足が向かなくなった少女が、大好きな祖母から受けた魔女の手ほどき。何事も自分で決めるのが、魔女修行の肝心かなめで……。
中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。西の魔女ことママのママ、つまり大好きなおばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。喜びも希望も、もちろん幸せも……。その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
Amazonより
作品紹介
- 書名:西の魔女が死んだ
- 著者:梨木香歩
- 出版社:新潮文庫
- 発行日:2001/8/1
- ページ数:226ページ
映画版は何度か見たことがありますが、小説は読んだことがなかったのでいつか読んでみたいと思っていました。
ですが、他にも読みたい本がありすぎてなかなか読めずにいました。
そんな中ふと、原作のあらすじが気になり、本屋さんで裏表紙を見てみると、こう書かれていました。
魔女修行の肝心かなめは、何でも自分で決める、ということだった。
最近、瞑想やミニマリスト思考を生活に取り入れていくうちに、自分の幸せは自分で決めたいという思いが出てきました。
裏表紙を見た瞬間、読むなら今しかない!と思いました。
このタイミングは逃すまいと次の日に図書館に行って借り、その日のうちに一気読みしました。
映画を先に見ていたのもあり、頭の中ですんなりと映像化することができました。
緑がいっぱいの広い畑と、優しい声で「アイ・ノウ」と言うおばあちゃん。
映画と同様に、穏やかで温かい印象の作品でした。
今の自分の状況も相まってか、おばあちゃんの一言一言が心に響きました。
音で聞くより文字で見る方が個人的には強く印象に残るからってのもあるかもしれません。
ここからは特に印象に残った場面を書きます。
おばあちゃんの魔女修行の中で、何でも自分で決めるという修行がありました。
これは裏表紙で確認済みではありましたが、何を決めるのか?までは分からず読み始めました。
魔女修行のなかで、このようなことを自分で決める場面がありました。
- 毎朝、何時に起きるのか
- 畑をつくる場所(一番好きな場所を選ぶこと)
- 転校するか、しないか
これは簡単なように見えて、結構難しいなと感じました。(転校はなかなか重めの決断ですが、、)
明日起きる時間だったら、明日の予定に合わせて決めればいい。
畑に適した場所だったら、土の状態や日当たりで決めればいい。
でも、自分がどうしたいか?で決めるとなると、なかなか難しい。
自分の気持ちは自分が一番よく知っているはずなのに不思議です。
併録されている「渡りの一日」では、その後のまいがまるで魔女のように、事態がまいにとって都合がいい方に好転していく様子が描かれています。
もしかすると、自分にとって良い選択をし続けることで、辿り着く先は自分にとって良い状況になるのかもしれません。
ある晩、まいはおばあちゃんに死後の世界について尋ねます。
おばあちゃんの考えはこうです。
- 人は魂と身体が合わさって出来ている
- 死ぬということはずっと身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだ
とてもポジティブな考え方で素敵だな、と思いました。
この考え方を知ってから、死後の私の魂が後悔しないように、もっと全力で生きたいと思うようになりました。
ある日、あばあちゃんの家の鶏が何者かによって襲われ、まいはひどくショック受けていました。
そして、まいの中である疑惑が浮かび上がります。
鶏を襲ったのはゲンジさんの家の犬ではないか?
ゲンジさんは、近所に住む言葉遣いの荒い横柄なおじさんです。
まいはそのおじさんが苦手でした。
まいの中で疑惑はどんどん確信に変わっていき、憎悪の感情が湧いてきます。
そして真相を知りたいとも思いはじめます。
そんなとき、おばあちゃんはこんなことを言います。
- 真相究明しても、また新しい恨みや憎しみに支配される
- そういうエネルギーの動きは、ひどく人を疲れさせる
たしかにそうだなと思いました。
負の感情はループしやすく、そのようなときはどんどん生気が奪われていっている気がします。
おばあちゃんは感情について、作中でこのようなことも言っています。
- 一見不思議な体験を後生大事にすると、次から次へそういうものに振り回される
- 多くの魔女が自分自身の創り出した妄想に取りつかれて自滅していった
つまり、感情に振り回されないことが大事だと言っています。
実際、物事をポジティブに捉えてる人は、明るい未来に向かって楽しく進んでいる人が多い気がします。
簡単ではないと思いますが、感情に振り回されずに生きていきたい、そう思えました。
これからの生き方、死についての考えを変えてくれた1冊になりました。
ページ数も多くなく、文章も読みやすいので定期的に読んでいきたいと思います。